ポン菓子

ポン菓子は膨化食品。膨化食品って何?4種類の膨化食品について解説。

ポン菓子は膨化食品。膨化食品って何?4種類の膨化食品について解説。

ポン菓子研究家杉内由香です。 本日は膨化食品についてです。 ポン菓子は生米を加熱加圧後に減圧(ポン!)して膨らませた食品なのですが、この現象は一般的に膨化と呼ばれています。 膨化は食品内部で気体が発生することで食品が大きく膨らむことを言います。 膨化には大きく分けて4種類あります。 1.減圧による膨化(ポン菓子) 2.加熱による膨化(スポンジケーキなど) 3.発酵による膨化(パンなど) 4.化学反応による膨化(どら焼き、焼き菓子など) 以下それぞれ解説していきます。   1.減圧による膨化 減圧による膨化食品といえばポン菓子。回転する圧力釜に白米を生米のまま入れて加熱加圧します。約10気圧まで圧力が上がったら釜の蓋を一気にあけて1気圧まで減圧(ポン!)。釜の蓋を開けたときに水分が一気に蒸発・膨張します。 例えば山登りした時に気圧が下がってくるとポテトチップスなどの袋は大きく膨らみます。これは平地の気圧より高地の気圧が低くなり、袋内部の空気が膨らんでいる状態です。ポン菓子をポン!した時にお米が膨らむ現象は、それが瞬間的に、ものすごい勢いで起きて膨らんでいる。そのようなイメージです。 膨化食品の原料としては、とうもろこし、麦、マカロニやパスタなども使われています。   2.加熱による膨化 水蒸気と空気が加熱により膨らむと同時に、これを包んでいる成分が伸びながら固まることによって起きる膨化です。 例えばスポンジケーキ。 スポンジケーキは卵(特に卵白)を泡立てて、それをお砂糖で安定化させた後、加熱することによって生地が膨らむ食品です。オーブンで加熱する際に気泡が膨らんで、同時にタンパク質や小麦粉の成分が変化、水分が蒸発することによって生地が固まります。 3.発酵による膨化 酵母(イースト)の作る二酸化炭素が膨らむことで食品が膨化されます。 例えばパン。 酵母(イースト)小麦粉やその他の材料と一緒に水を加えてよく捏ね、30度付近でしばらく放置すると、酵母が作る二酸化炭素によって生地が大きく膨らみます。 記事をよくこねることによって作られた小麦粉のグルテンが、発生した二酸化炭素を包み込んで、伸びていくため生地の中にたくさんの気泡ができます。 パンを作る時によく捏ねる必要があるのは、酵母が発生させる気泡をしっかりと包み込みためです。   4.化学反応による膨化 化学反応による膨化で最も基本的なものは重曹です。 例えばどらやき。...
続きを読む
ポン菓子はどのくらい長持ちするの?賞味期限は?

ポン菓子はどのくらい長持ちするの?賞味期限は?

ポン菓子研究家、杉内由香です。 本日はポン菓子の賞味期限についてのお話です。 ポン菓子ってどのくらい長持ちするの?とよく聞かれます。 市販されているポン菓子の賞味期限表示は3ヶ月〜8ヶ月と幅があります。 ですが、実際どこまで長持ちするかについては、文献や資料などを発見することができませんでした。限界まで検査された方はいらっしゃらない様子です。 ポン菓子機械製造の吉村さんにお会いした時に伺ったところ 「賞味期限検査は販売する人が流通させたい期間を任意で行っている場合が多いよ。例えば3ヶ月で売り切りができる商品の賞味期限検査をわざわざ伸ばして6ヶ月とか1年やったりする人は少ないかな。」 というお話を伺えました。 ポン菓子は生米の水分が蒸発して膨らむ食品で、出来上がりはいわゆる米の乾物です。食品の性質からいけば半年以上、それどころか一般的な乾物のようにしっかり密閉すれば数年保存できる可能性ありますよね? と質問したところ、 「そうだね。日持ちはするよ。何年持つかは調べてる人いないみたいだけど」 とおっしゃていたため、ポン菓子研究家的にこれは検査しないとだめでしょ!と2021年1月4日からポン菓子長期微生物検査を行っています。 先日6月5日に150日検査で問題なしとの検査結果をいただきました。   ※基準オーバーの項目なしでした。 この細菌検査は定期的に行っています。現在1年半先の分まで検体を送付して期日ごとに検査結果が届く予定になっています。 ポン菓子は、水分が少ない(5%)上、食品に細菌が繁殖する原因となる自由水(物質の中で自由に動き回れる水)の値が水分の中で6%しかないので、理論上は細菌繁殖をほぼしない食品です。 ただし、乾燥している分外気の湿気を吸いやすく、空気中の水分に触れるとポン菓子はすぐに吸湿してシナシナになってしまいます。 そうなるとポン菓子中の水分量も増えて、細菌繁殖しやすくなってしまうため、「開封後はお早めにお召し上がりください」または「吸湿しやすいので密閉してください」などの注意書きがポン菓子にはよくあります。 密閉している状態でどのくらい保存することがきるのか、今後の検査についても随時報告予定です。 食品として6ヶ月以上の賞味期限が補償できるようになりましたら、非常食マークを申請して、いざという時のための食品としてもご利用いただけるのでは? と考えていまして、現在は夏の6ヶ月検査結果が来るのを楽しみにしています。 本日は以上になります。 ありがとうございました。
続きを読む
ポン菓子って『パフライス』?

ポン菓子って『パフライス』?

ポン菓子研究家 杉内由香です。 本日はポン菓子の呼び方についてのお話です。 結論からお伝えしますと……今後「いとかるし」は、ポン菓子の事を パフライス です!と声を大にしてお伝えしていこうと考えています。 パフライスとは? 『パフライスって何?』といいますと、 パフ=膨らんだ ライス=米 ということで、『膨らんだお米』いわゆるポン菓子そのもののことです。   一般的な『お米のポン菓子』はどういうもの? 一般的なお米のポン菓子は、生米を180℃ 10気圧で5〜10分加熱・加圧した後、ポン菓子の名前の由来にもなっている、ポン!と音が鳴る減圧工程で膨らませた後、飴蜜をからませた物を言います。 最終段階で飴蜜をからませているので「ポン菓子=砂糖味の甘い米のお菓子」というイメージが強いのではないでしょうか?   『いとかるし』は無糖のポン菓子です! 『いとかるし』の初回製造パッケージには『Kojemiの贅沢無糖ぽんがし』と表示しています。その名の通り、通常のポン菓子で使う飴蜜を使用していない、無糖のポン菓子です。 無糖のお菓子とは言ったものの、『大切な赤ちゃんに離乳食として食べさせるのはちょっと不安……』と感じる親御さんもいらっしゃるかも知れませんね。 「いとかるし」に関しては、一切の味付けを行っておりません。 魚沼産の一等米コシヒカリだけを『ポン!』と膨らませただけ。お米を膨らませて、そのままスナックにした商品です。 加熱加圧した後のポン!により、米内部にある水分が一気に蒸発します。蒸気に押され、お米の内部が網のように広がって膨らみます。お米の水分が抜けて膨らんだ『乾物』というイメージです。 水分が蒸発して膨らんだものなので、栄養成分は生米とほぼ変化がありません。(農林水産省の図書館資料にて研究結果を見つけました)   ポン菓子を『 パフライス』として広めて行きます ポン菓子から、飴蜜を抜いたので、『無糖ポン菓子』とパッケージに記載したのですが、無糖とぽんがしがくっついていることで、呼び名が長いという不便さを感じていました。 「いとかるし」を食事としても日常的に楽しんでいただけるように、今後はポン菓子という呼び名だけでなく、「パフライス」という呼び名でも皆さまに知っていただけるように活動していく所存です。   本日は以上になります。 ありがとうございました。    
続きを読む
ポン菓子の栄養成分(重さや見た目について)

ポン菓子の栄養成分(重さや見た目について)

ポン菓子研究家、杉内由香です。 本日はポン菓子ってどのくらいのお米から作られるの? ポン菓子は炊いたお米に換算すると、どのくらいの分量になるの? というお話です。 お米のポン菓子の原料は、生米になります。 生米を180℃10気圧まで加熱・加圧した後、蓋を開けて(ポン!)1気圧まで減圧します。気圧が一気に下がることによって生米の水分が一気に蒸発して、その勢いで膨らんんだのがポン菓子です。 ポン!することで、生米から約10%水分が蒸発し膨らむので、見た目は増えてるのに重さは減っている状態です。 いとかるし8gを生産するのに原料の生米は8.8グラム必要な計算になります。   ポン菓子は生米の状態から大きさは約10に膨らみます。 ポン菓子8gって、炊いたお米だとどのくらいの量になるのでしょうか? 生米を炊いた場合、お米は炊飯するとこによって水分を吸収して重量が2.2倍になります。 そのためポン菓子8gは 生米8.8g✕2.2=19.36 約19gの炊いたご飯と同じ分量になります。  上の画像は5.5gの生米をポンした時の見た目の量です。 ポン菓子は5g、炊いたお米は12gあります。 随分と大きさが違いますね。 しかし、栄養成分に関してはほぼ変化がないそうです。 ポン菓子について書かれている本や文献を探しにあちこち巡る中で、農林水産省の中に図書館があることを知りました。 2021年のはじめに農林水産省に伺って図書館内でポン菓子の資料を探した結果、 ポン菓子の栄養成分は米の状態の時からほぼ変化しないというデータを見つけました。 ※資料は農業支援プラットフォーム「INACOME」(イナカム)内の交流会でプレゼンした際の資料です。 栄養成分の検査結果玄米で行われていたので、いつかいとかるしのお米を成分分析に出して結果を実際にみて見るのが最近の私のプチドリームです。 なぜなら詳細成分分析一回20万円以上かかるらしく、生米とポン菓子と2回行うと40万円以上… 研究ってお金がかかるものですね。 ということで、ポン菓子はなんと味付けをしなければ実質お米といえるのでは?というお話でした。 本日はここまでです。 ありがとうございました。  
続きを読む
ポン菓子は実験の失敗から生まれたお話

ポン菓子は実験の失敗から生まれたお話

ポン菓子研究家 杉内由香です。 本日はポン菓子はどうやって生まれたの? というお話をしたいと思います。 私杉内、ビールを飲んで話すYouTubeチャンネルやっておりまして、動画の方がいいなと思われる方はこちらご覧ください。 ※どのような話もビール飲んで話す設定なので、そのあたりご了承いただけますと幸いです。   そもそもの始まりとしては 1901年、ミネソタ大学の研究者だったアレクサンダー・ピアース・アンダーソンが、穀物の研究中、米が膨化することを発見したそうです。 ウィキペディアより https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%B3%E8%8F%93%E5%AD%90 米を試験管に入れオーブンで熱する工程で、誤って試験管に蓋をしてしまい、試験管を破裂させてしまったことにより、ガラスの破片の中から発見された。   とあるのですが、試験管をオーブンで加熱するのもすごいなら 加熱する試験管にうっかりふたをするのもびっくりですね。 私も随分うっかりしている人間ですが、これはかなりのうっかりです。 しかしそのおかげで穀類に熱と圧力を加えると膨らんでパフ化されることが判明したので良いうっかりだったのかもしれません。 その後、アメリカでは主にシリアルとして食べられていたそうです。 日本では第二次世界大戦終わりごろ、大阪で先生をやっていた女性、橘さんがポン菓子製造機を作られたのが最初だそうです。 戦時中の食糧難の中、生米はあってもそれを炊く燃料がなくてお米が食べられないという状態だったそうです。 少ない燃料でたくたんの量を作れるポン菓子機械があればたくさんの子供達が飢えに苦しまなくて済むかもしれないと一からポン菓子機械を作ろうと奮闘されたそうです。 そのあたりのお話は歌川たいじさんの バケモンの涙をご覧いただければと思います。 https://amzn.to/2T9zM3p 橘さんは現在も御存命で北九州にお住まいだそうです。 私が購入させていただいたポン菓子機械製造の吉村さんは橘さんの息子さんにあたります。 現在ポン菓子機械を販売されているのは東京都南千住の吉村さんと北九州にお住まいの吉村さんの息子さんの会社と2箇所だけだそうです。 ポン菓子といえば、私が子供の頃行商のおじさんがトラックにポン菓子機械を載せて来て、家のお米を渡すとポン!として渡してくれたものを無心でムシャムシャ食べていた記憶があります。 何も考えないでムシャムシャ食べていたポン菓子を自分が販売することになるとは当時は夢にも思いませんでした。 人生わからないものですね。 ということで本日は以上になります。 ありがとうございました。
続きを読む
ポン菓子は生米を10倍に膨らませた食品です【動画あり】

ポン菓子は生米を10倍に膨らませた食品です【動画あり】

ポン菓子研究家 杉内由香です。 本日はポン菓子がどのように出来上がるのかについてのお話です。  ポン菓子は生米を180℃10気圧で加熱加圧した後に減圧(ポン!)をした時に一気に放出される水蒸気によってお米が膨化した食品です。 一般のご家庭にある圧力鍋の気圧は3気圧なので約3倍強。また圧力鍋では少しづつ蒸気が漏れていますがポン菓子機の場合減圧するまで水蒸気が漏れることなく窯の中に溜まりつづけています。 加熱中、窯の中では生米内部のデンプン質が加熱されてドロドロになっているそうです(ただし生米の形状は保たれている) 減圧(ポン!)した瞬間に生米内部の水蒸気が一気に放出されて、ドロドロに溶けたデンプン質が投網のように広がって一瞬で固まってポン菓子ができあがり。 出来上がったポン菓子を秋葉原の食品技術センターさんにお邪魔して顕微鏡で拡大すると綿飴のように細かくなったデンプン質がうっすら見えるような見えないような…。もう少し拡大できる顕微鏡でいつか見てみようと思います。 現在販売している「いとかるし」はお米をポン!した商品なのですが、 実はポン菓子機はいろんなものが膨らませられるんです。 先日ポン菓子のポン!をお願いしている静岡県富士市の船山さんからいろんな味付けのポン菓子を送っていただけました。 白米だけでなく、玄米やマカロニ、はと麦やもちきびなどいろんな食材をポン!して膨らませることができるそうです。 膨らませたポン菓子に飴蜜をからめて味付けをすることが一般的です。 右上のシェル型マカロニは黒糖蜜がからまってカリカリでとても美味しかったです。 最後に半年以上前に撮影したものですが、ポン菓子の実演動画を貼っておきます。本当は撮影しなおしたかったのですが諸事情で間に合わず…近いうちに新しい実演動画を取り直してこっそり入れ替えておきます。 最初にお米を入れるところから最後のポンまでかなり時間がかかるのでポン!だけ見たい方は10:28くらいにジャンプしてください。 こぜみのポン!はいとかるしの前の名前です。
続きを読む